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在りし日の伊之助くん

ずいぶんと酌量期間は短いけれど、もう時効だということにして白状すると、彼女がウチにやってきた頃は、あまり夫婦仲がよろしくなかった。些細な事で言い争いばかりしていた。そんな時も彼女はその様子を見るでもなく、気ままに俺の足をかじったりして、そんな無邪気さに随分助けられたものだった。

そりゃそうだ。真剣な顔して言い争ってる最中、

「イテエ!」

なんてなればついついお互い笑ってしまう。子はかすがいなんて良く言うけれど、フェレットだって十分かすがいだった。いつからか喧嘩の仲裁に一役買ってもらっていたわけだ。そりゃもう名審判だった。

彼女をお寺で焼いた日、

「もう名審判はおらんのだから、なんとか仲良くやらにゃならんよな。」

としみじみ思ったものだ。

それなりに大変な事もあるけど、お蔭様であんたが居なくても今のところはなんとか上手いこと行ってるぜ、名審判。

在りし日の伊之助くん

兎に角良く噛まれた。順序としてはこうだ。まずくるぶし辺りを熱心に舐められる。さてどんな味がするもんかね。などと油断して眺めていると、おもむろにガブリ!ガブリ!と2・3度かじられる。

「痛っ!いった!!!」

と慌てて足を引っ込めると、何か訴えるような目でこちらを見つめてくる。なんだかまってほしいのかと頭を撫でてやろうとすると、フッと背を向けて何処かへトコトコと行ってしまう。どうしたもんかなあと考えていると、またやってきて同じことを繰り返す。ああ。わかった空腹なのか。とエサを差し出してやると、これまた食べずにトコトコと。

「どないせいちゅうねん・・・。」

今でも時折どうして欲しかったのかとりとめもなく考えたりする。なんとか分かり合いたいものだったなあ。と。

ちなみに、カミさんはほとんど噛まれることはなかったらしい。それが得だったのか損だったのかも未だに良くはわからないけれど、

「噛まれたよなぁ。」

としみじみ思い出せるのは、それなりに悪いものでもない。

在りし日の伊之助くん


ペットを捨てることの是非というお話。

いや是非もへったくれもない。良くないことで議論の余地はないのだろうけれど、別に俺は動物愛護団体の回し者でもないし、止むに止まれぬ事情だってあるんだろう。仕方ないことだとも思う。

ただ、

「ずっりぃなあ。」

とは思う。よくカミさんと会話したのは、

「どんな事すると喜ぶのかね。」

という話。元々それほど脳味噌の大きな動物でもないし、何をやっても同じだったのかもしれないけれど、もしかしたら前の飼い主は彼女の喜ぶツボを知っていたかもしれないと思うと切なかった。

後半の1年は本当に病気がちで、結局不調に終わった手術にも立ち会って一部始終を見守ったし、最後の日、カミさんの膝の上でその小さな心臓が止まるまで、俺は天井を眺めたり彼女を眺めたりして、「何もできない事」を耐え続けた。

もし、もしもだけれど、前の飼い主が、彼女がどこかで元気でいるのかなんてことをたまに夢想しているのだとしたら、従順でかわいく元気だった彼女の思い出だけを大切に思い出しているのだとしたら、やっぱり、

「ずっりぃなあ。」

在りし日の伊之助くん

2001年7月の初旬。毎日その年の最高気温を更新する何日目か。僕らは古河市の知合いの動物病院に、店先に捨てられていたという彼女を譲り受けに行った。ケージの中の彼女は明らかに緊張していて、初めて動物らしい動物を飼う僕らもやっぱり緊張していた。

「名前どうする?」

「伊之助でいいんじゃね?」

「誰それ。」

「いや行司軍配の。」

名前は本当にいい加減に決定した。試しに、

「伊之助ぇ~。」

と呼んでみても当たり前だけど振り向かない。せめて名前くらいケージに貼り付けておいてくれれば良かったのにな。とつくづく思った。

そして帰りの電車の中、僕はこのアホみたいに愛くるしい、小動物というにはちょっとサイズの大きな生き物をしげしげ眺めながら、

「何時かあっさり居なくなるんだよな。コイツも。」

なんて事をボンヤリ考えていた(後で聞いたらカミさんも同じ事を考えて居たらしい)。相変わらず彼女はケージの中で所在無さそうに、目一杯緊張して震えていた。

つづく(のか?これ・・・)。

在りし日の伊之助君



2001年の夏から2005年の6月に死ぬまで、我が家ではフェレットを飼っていた。カミさんの友達の獣医さんが勤める動物病院の門前に捨てられていた、所謂捨て子だった。いかつい名前がついてはいるけれど、れっきとした女の子。

今更死んだ子の年を数えるように、センチメンタルな文章を書くつもりもないのだけれど、彼女と僕らが過ごした期間はなんか色々あったから、いやあったような気がするけどホントにあったかどうかさえもう忘れそうだから、個人的な備忘録としてのエピソードを不定期に綴ってみようと思うのです。

いやあ我ながら実に散漫なブログですが。いいのいいの。人目なんかきにしなーい。

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